釜戸の朝

fujita

本日は、ちょっとした立ち話で新潟出身と伺ったので、クリーニング一筋60年の藤田さんにお時間を頂きました。

米BCD:本日は宜しくお願い致します。

藤田:宜しくお願いします。

米BCD:新潟出身とのこと伺いましたが、田んぼは身近にあったのでしょうか。

藤田:農家で、東京に出てきたのが15歳の頃だから…昭和31年か、それまでは田植やってましたよ。苗代作って、三本鍬で地おこししてね。今はどうやってるのかわからないけど、僕のいた頃は、綺麗に区画された田んぼなんてなかったから、全部手でやってたような気がする。刈り入れまでの草取りが、また大変なんだ。農薬もあんまり撒かなかったし。

米BCD:大変ですね。子どもの時ですよね?

藤田:そう、学校帰ったら手伝った、夜になるまで。でも、戦後だけど食べるものが無かったって記憶は無いかな。お米も野菜もあったし。高級なものは無かったけど、お芋かじったりしてね。

米BCD:では、東京に出てきてから食べ物に違いを感じることはありました?

藤田:肉があるなーと。向こうでは当時あんまり無かったから。肉屋さんも無かったし。時々猟師さんが兎を持ってきて、みたいなのはあったけど。

米BCD:猟師さんが兎!お米は実家からでしたか?

藤田:いや、最初は住み込みだから食事付きでね。独立してからはずっと実家の米食べてるから、買ったことない。

米BCD:好きな食べ方はありますか?

藤田:まあ、味噌汁との組み合わせかな。最近は血圧が高いから塩分控えてるけど、漬物とか。あと丼ものだねぇ。カツ丼とか牛丼とか。普段のご飯でも味の濃いおかずをご飯に乗せて食べるの好きだもん。中にはご飯に何か乗っけるの嫌いって言う人もいると思うけど、僕は好き。

米BCD:乗っけない派と乗っける派いらっしゃいますね。その他には?

藤田:おいなりさん!あんまり見かけないけど、ひじきの入った五目のが好き。あと味ごはん。混ぜごはん?炊き込み?ホタテとかしめじとか、鶏肉とかね。意外と炊き込みご飯の素も色々試してみたくなっちゃう。ちょっと味がついて、あと味噌汁でもあれば、おかず無しでもいい!(笑)

米BCD:そういう魔力ありますね。炊き込みご飯には。普段は3食ご飯ですか?

藤田:うーん、若い頃は3食ご飯だったけど、今はお昼ぐらいかなぁ。朝は得意じゃないけどパンだし、夜はおかずだけ。食べようと思えば食べられるんだけど、健康の為しょうがなくね。

米BCD:得意じゃないのに朝がパンなのは何故ですか?

藤田:うちのがパン好きだからねー。

米BCD:奥様が!それはそうなりますね。

藤田:それとお店の開店前は忙しくてね。子どもたちもいるし、パンだったら、さっと出来るしね。でも、子どもの頃、お袋は朝早く起きて米炊いてたなぁ。もちろん電気釜なんかないから、釜戸で薪たいて。いつ寝ていつ起きてるのかわからないぐらいだった。

米BCD:家事全般手作業なのは大変ですよね。

藤田:さっきの農作業の話だって、車がまずないからね。俵とか背負って運んでた。俵ったって60kgあるんだよ。僕も中学の時には運んでたけど。

米BCD:ひと一人分くらいですものね。

藤田:その代わり、勉強しろ!とは言われなかったけどね。あ!思い出した。前日残った、しなっとした天ぷらをご飯に乗っけて、醤油かけて食べると美味しい!まあ、天丼っちゃぁ天丼か。

米BCD:翌日天丼っていうのもいいですね。翌日カレーではないですけど。

藤田:前は中華屋行って、ご飯と一品頼んで、さっとかけて食べるのも好きだったなぁ。

米BCD:あー、それもいいですね。今日は沢山のお話ありがとうございました。

藤田:今日の話は、我々年配で地方から就職で出てきた者には共通してる話かもしれないけどね。
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藤田 正和:1941年 新潟出身
15歳からクリーニング業に入り、67年より独立、藤田クリーニングを営む。

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