ご飯と駆ける(後編)

miyaji-2

前回から引き続き、八木橋百貨店の販売促進担当、宮地豊さんのお米インタビュー後編をお送りいたします。 【前編はこちら】

米BCD:お餅はお好きですか?

宮地:好きです。餅つき機で作ったり、普段も切り餅を買っておいたりしますね。ちょっと置いて硬くなってしまったのを、レンジでチンしてインスタントラーメンに入れて食べるのも、また美味しいですし。

米BCD:それも美味しそうですね。ラーメンの汁にお餅。

宮地:ラーメンといえば、ラーメンライスもなかなか好きですね。

米BCD:ラーメンをスープに、ライスを皿でみたいな感じですか?交互に食べる感じの。

宮地:家ではスープの中に入れてしまう方です。麺をひとしきり食べた後で、ライスを投入する感じで。麺とライスが絡むのは、あんまり好きじゃないので。

米BCD:お店では?

宮地:流石にお店ではできませんね。ライスはライスで食べます。やってみたいスープのときも、あるにはあるのですが、そこは堪えます(笑)。

米BCD: (笑)なかなか店でするのは勇気がいりますよね。田んぼのエピソードはありますか?

宮地:田植え自体はしたことないですけど、私の家の周りには田んぼがいっぱいあって、田んぼって植え込みの時期に水張りするでしょ?

米BCD:ええ。

宮地:その日から、カエルの大合唱が凄いの!一匹一匹は「ゲゲッ、ゲゲッ、ゲゲッ」って途切れ途切れに鳴いてるんだけど、何しろ沢山の数で鳴いてるから「ゲェ〜〜〜〜〜」って繋がって聞こえる。数日すると耳が慣れるのか、カエルのテンションが下がるのかで気にならなくはなりますが。

米BCD:カエルも最初は、やったー水だぜー!って声が大きくなるんですかね。

宮地:そもそも何処に居たのか、というのも気になりますね。だって5〜6月でしょ?彼らはもう土からはとっくに出てたと思うんですよ。でも水張りまではカエルの鳴き声なんか聞こえないし。基本的に静かな土地なんですけど、今日水張りしたんだなって分かるぐらい、まさにその日から大合唱。

米BCD:確かに、そう言われると気になるかも。カエルは毎年のことで本能的に田植えの時期がわかるのかもしれませんね。子供の頃のご飯の思い出はありますか?

宮地:ボーイスカウトのキャンプで食べたご飯は美味しかったですね。一番かもしれない。

米BCD:飯ごうで炊かれたんですか?

宮地:ええ。いわゆるキャンプのご飯です。テントとかお米とか、生きた鶏を持って行かなくちゃいけないから重かった。

米BCD:生きた鶏?

宮地:ええ、もちろん食べる為に。でも小学校五年生ぐらいのころでしたから「鳥を絞める」っていうのがなかなかできなくて。

米BCD:小学校五年生でなくても躊躇ありますよね…。

宮地:隊長に「鉈でバスっと!」って言われて試みるんですけど、そういう時って力が入らなくて…。鶏の首の骨が折れてバタバタした状態になっちゃう。で、それを見かねた隊長が「中途半端だと余計可哀想だ」と鉈でスンと首を切り落としてくれたんですけど…今度は首のない鶏がばーっと走り出しちゃって。首は首で動いてるし。

米BCD:凄い状態ですね。

宮地:でも、あとは血を抜いて、熱湯かけて、羽を毟ってってやっていくと、最後は売ってるような綺麗な感じになっていくんです。まあ、命を頂くっていう学びですよね。

米BCD:結局、普段食べているものも、そういうプロセスを経てますからね。

宮地:で、それは丸焼きにして、お米は飯ごうで磨いで、始めちょろちょろ中ぱっぱで炊いて、最後に蒸らす意味で飯ごうをひっくり返す。最近、この「返す」工程をやらない方いますが、やった方がいいです!これをすると美味しくなるんです。

米BCD:一手間で違うんですね。

宮地:そうですね。その丸焼きと一緒に食べたご飯は、凄く美味しかったな。まあ、そこまで過程があったからこそだと思うんですけど。

米BCD:「ご飯」って本来そういうものなのかもしれませんね。本日は本当に沢山のお米エピソードありがとうございました。

宮地:ありがとうございました。これで足ります?

米BCD:もちろんです!(前後編になっちゃいました)

始めちょろちょろ中ぱっぱ:お米を炊くとき、序盤は弱火、中盤は強火にする炊き方を言い表した文句。「赤子泣いても(泣くとも)蓋取るな」という語句が続く。

=======
宮地 豊:1961年 浦和出身
株式会社 八木橋にて販売促進を担当。夏にお馴染みの「あついぞ!熊谷」の温度計看板などを手がける。また「埼玉でたぶん唯一ポール・マッカートニーに4回会った男」として、「たまたま(テレビ埼玉)」にて、自身のドキュメントが放送されている。

広告